星状神経節ブロックとは
星状神経節(せいじょうしんけいせつ)という頚部に行うブロック注射の1つです。首の前面、喉の横辺りに針を刺し局所麻酔薬を投与します。
星状神経節は交感神経(自律神経)の1つです。交感神経は血圧を上げたり、筋肉を緊張させたり、興奮させる作用があります。平常時はバランスよく働いていますが、身体の不調、過剰なストレス、慢性的な痛みなどで交感神経が過緊張することによりバランスが崩れ、その結果痛みが強くなります。
星状神経節ブロックは頚部の交感神経節に対して局所麻酔薬を注射します。交感神経の興奮を抑えることによって、血流が改善され、血のめぐりがよくなることで結果的に痛みの発生を抑えることができます。腕や手が冷たいような、血が巡っていないような感覚がするところに血が通っていくようなイメージでしょうか。
星状神経節ブロックは、交感神経を遮断することによって血流を改善し痛みの悪循環を断ち切ります。
星状神経節ブロックと他のブロック注射との違い
星状神経節ブロックは、交感神経を遮断することによって血流を改善し痛みの悪循環を断つことが目的です。
星状神経節ブロックはベッドに上向きに寝た状態で行なうことから、術者が視野に入る可能性が高いです。
注射針が直接見えることは、恐怖感が増す可能性もあるので、ブロックの際は目を閉じて頂くか、タオルで目を覆って行います。
手技自体は短時間で終了し、安静時間も硬膜外ブロックと比較すると短くなっています。
どのような痛みに星状神経節ブロックが行われるか
星状神経節ブロックは上半身(頭部、顔面、頚部、肩部、腕部)に痛みがある場合に
対して行います。具体的な疾患名は下記をご覧ください。
帯状疱疹痛 帯状疱疹後神経痛 等
星状神経節ブロックの効果・効果時間
星状神経節ブロックの効果時間は数時間~数週間ほどになります。神経ブロック注射全てに言えることですが、効き目、効果期間は個人差や症状によって変わります。
交感神経は血管を収縮させて血圧を上昇させる、筋肉を緊張させるなどの働きがあります。
星状神経節ブロックは交感神経の興奮を抑えます。交感神経が過剰に興奮してしまうことで、血流が悪化し、発痛物質が代謝されにくくなり、筋肉が緊張した状態が長く続いてしまい痛みを引き起こします。交感神経の興奮によって起こる一連の連鎖を、ブロックすることができます。
痛みを伝達する神経を切断するものではないため、即自的に痛みが治まるというものではありません。
星状神経節ブロックの所要時間
星状神経節ブロックは、短時間で終了します。注射後、15分前後安静にしていただき、経過をみてから終了になります。
星状神経節ブロックの合併症・リスク
星状神経節ブロックは、医療行為ですので、合併症が起こるリスクが少なからずあります。ブロック注射で起こるリスクについても、専門医として解説いたします。
頚部には、腕や顔、声帯に関与する神経が存在しており、ブロックの影響が及ぶことによる声帯の一時的な運動障害やそれに伴なう声のかすれが生じます。それらは2・3時間経過すれば治ります。
交感神経に作用するため、血圧低下などがみられますが、こちらも一時的なものになります。
他には以下のような合併症があります。
まぶたが重くなる、または下垂する
顔面、手、腕がほてる
眼が赤くなる(結膜充血)、視力がぼやける
鼻が詰まる
汗が出にくくなったり、乾燥しやすくなる
声がかすれたり、息苦しくなることもある
(このような時は飲食するとむせるので普通の声になるまで控えて下さい)
注射部位が痛んだり、内出血する
手がしびれたり力が抜ける
動脈、静脈内に麻酔を注入してしまうことで起こる”局所麻酔中毒”
注射針を刺した部分から細菌が入ってしまうことで起こる“細菌感染” ”頚部膿瘍”
頚部の血管を損傷してしまうことで起こる”頚部血種”
こじまクリニックで重篤な合併症に遭遇したことはございませんが、万が一の場合に、すぐ対応できるように、注射後は安静にして経過を確認しております。
まとめ
星状神経節ブロックは、星状神経節と呼ばれる頚部の交感神経節に局所麻酔薬を注入します。
交感神経は、血圧上昇、筋肉の緊張など身体を興奮させる作用があります。交感神経は副交感神経とバランスを取り合って体の状態を調節してくれていますが、交感神経が過剰に興奮してしまうことで、体の不調が起こります。
星状神経節ブロックは、交感神経節に局所麻酔薬を注入し、交感神経の興奮を抑えることができますので、痛みの悪循環を断ち切り、急性痛、慢性痛の改善に効果的です。
星状神経節ブロックには、瞼の重さ、声のかすれ、腕の重だるさ、稀に細菌感染や局所麻酔薬中毒などの合併症がみられます。
こじまクリニックでは、しっかりとカウンセリングをおこなってから治療方針を決めています。痛みでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
その他の治療内容については診療案内のページからご覧ください。
コラム監修医師
こじまクリニック 院長小島 研太郎
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