胸郭出口症候群とは

「肘や腕、背中が痛くてマッサージしているのに全く良くならない」
「手や指先がピリピリしびれる、冷える、腕に力が入らない」
「肩甲骨の奥の方がずっと重痛い」
このような症状にお悩みではありませんか?つらい場所を揉んだりストレッチしたりしても改善しない場合、その原因は痛む場所ではなく首から鎖骨にかけての「胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)」にあるかもしれません。
当院(こじまクリニック)でも、長引く腕や背中の痛みを詳しく検査したところ、胸郭出口症候群と判明する患者様が多くいらっしゃいます。
今回はペインクリニック専門医の視点から、胸郭出口症候群の病態やご自身でできるチェック法、そして当院で行うアプローチについて詳しく解説します。
💡 このコラムを読んでわかること
胸郭出口症候群(斜角筋・小胸筋・肋鎖症候群)の仕組みと原因
手・腕・肩甲骨に現れる代表的な4つの症状
ご自宅で今すぐできる「ルーステスト」などのセルフチェック法
患部のマッサージが「効かない/逆効果になる」理由と対処法
【ブロック注射・薬物療法 → 手技・鍼灸 → 運動療法・トレーニング】という当院の段階的治療
胸郭出口症候群とは?(病態と発生メカニズム)
首から脇の下に向かって、手や腕を動かすための「神経」と血液を送る「血管」が走っています。この神経や血管が通り抜ける首〜鎖骨〜胸の隙間のことを医学的に「胸郭出口(きょうかくでぐち)」と呼びます。
胸郭出口症候群とは、この通り道のどこかで神経や血管が圧迫・牽引(ひっぱられる)されることで、手足のしびれや肩甲骨周囲の痛みを引き起こす疾患の総称です。
頚椎椎間板ヘルニアと類似した症状を呈することもありますので、鑑別にはレントゲンやMRIを用いた医師の診断が必要となります。
圧迫される場所による3つの分類
胸郭出口症候群は、絞扼(締め付け)される部位によって以下の3つに分かれますが、これらを総称して「胸郭出口症候群」と呼ぶのが一般的です。
斜角筋症候群(しゃかくきんしょうこうぐん): 首の筋肉(斜角筋)の間での圧迫
肋鎖症候群(ろくさしょうこうぐん): 鎖骨と第1肋骨の間での圧迫
小胸筋症候群(しょうきょうきんしょうこうぐん): 胸の筋肉(小胸筋)の下での圧迫
胸郭出口症候群はなぜ起こる?発症しやすい人の特徴
なで肩の女性: 腕の重みで神経や血管が下へ強く牽引されやすいため。
重いものを持つお仕事・スポーツをする方: 腕が下に引っ張られ続け、神経へストレスがかかるため。
長時間のデスクワーク・スマホ操作の方: 首や胸の筋肉が持続的に緊張し、通り道が狭くなるため。
解剖学的な要因(頚肋など): 稀に生まれつき首の骨(頸椎)から余分な肋骨(頚肋:けいろく)が生えているケースがあり、この場合は手術で切除することもあります。
胸郭出口症候群の主な4つの症状
胸郭出口症候群は神経や血管が圧迫される場所によって症状は多岐にわたります。
① 手や指のしびれ・指先の冷え: 小指側にピリピリ感がでたり、血流低下で指先が冷たくなる。
② 肩甲骨周囲(背中側)や腕への痛み: 首・背中・腕の奥が重苦しく痛む。
③ 筋力低下・運動障害: 握力が落ちる、指先を使う細かい作業(ボタン掛けなど)がしづらい。
④ 腕を上げると症状が悪化する: つり革につかまる動作や、バンザイの姿勢でしびれが強まる。
胸郭出口症候群の診断方法
胸郭出口症候群は、以下の徒手テストで診断します。
ルーステスト
腕を肩と同じくらいの高さまで持ち上げ、肘を90度に曲げます。そのままの姿勢で手のグーパー繰り返します。この動作をおこなっているうちに症状が誘発され、腕を戻せば症状が楽になるというのが何度繰り返しても再現される場合は胸郭出口症候群の可能性が高まります。
モーレーテスト
鎖骨上部にある神経を圧迫したり、叩いたりすると嫌悪感や症状が出る場合は神経が圧迫されている可能性があります。このテストは左右比べるのが重要です。
アレンテスト
小胸筋と斜角筋を緊張させ、橈骨動脈の拍動の変化をチェックするテストです。
投稿動脈の拍動減弱がみられたら陽性です。
⚠️ 注意:自己判断は厳禁です
ルーステストが陽性であっても陰性であっても、自己判断で放っておくのは危険です。頚椎ヘルニアなど他の疾患が隠れている場合もあるため、必ず専門医の診察を受けましょう。
Q&A:痛む場所をマッサージしても治らないのはなぜ?
Q. 腕や肩甲骨が痛いので、その場所を一生懸命マッサージしていますが治りません。なぜでしょうか?
A. 痛みの「原因(締め付け場所)」と「症状が出ている場所」が異なるからです。
胸郭出口症候群は、「首から鎖骨にかけての通り道」で神経が圧迫され、その先の「腕や背中」にSOSの痛みが走っている状態です。
痛む腕や背中だけをマッサージしても、根っこである「首〜胸元の締め付け」が解消されていないため、効果が薄かったり一時しのぎになってしまいます。むしろ、間違った部位への刺激やストレッチは、引き伸ばされた神経をさらに痛めて症状を悪化させる危険性があります。
胸郭出口症候群の当院の治療法
胸郭出口症候群は患者様の圧迫されている箇所、生活様式、筋力、姿勢などによってアプローチすべきポイントが違います。
患者様の状態に合わせて、神経ブロック注射、薬物療法、手技療法、鍼灸療法、運動療法、パーソナルトレーニングによる筋力補強などをおこないます。
特に症状が強い場合に神経ブロック注射をおこないます。
こじまクリニックの神経節ブロック療法と手技療法ページを見る▼
神経ブロック療法についての説明はこちらをご覧ください(タップで別タブが開きます)
手技療法・マッサージ療法はこちらをご覧ください(タップで別タブが開きます)
予防のポイント
長時間のデスクワークは斜角筋などの緊張を高めるため、適度にストレッチや運動をおこなう
腕を万歳した状態での仕事は極力避ける
重いものを持ち上げる運動(バーベルを持ち上げる、重いリュックを背負う)などは避ける
上記を意識して生活をしてください。
最後に
胸郭出口症候群は現代人に多く見られる疾患です。ただ腕や指が疲労しているだけど放置していると、胸郭出口症候群が悪化してしまい治療に時間を要することもあります。
少しでも胸郭出口症候群じゃないか?と感じた方はすぐに当院までご相談ください。多角的な治療法で胸郭出口症候群を治療します。
コラム監修医師
こじまクリニック 院長小島 研太郎
「こじまクリニック」の診療科・所在地・電話番号などは下記をご覧ください。
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- 診療科:ペインクリニック・整形外科
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