院長コラム

痛みの3分類(侵害受容性・神経障害性・痛覚変容性)を解説

痛みの3分類

このコラムを読んでわかること

長引く痛みを引き起こす「3つの痛みのメカニズム」の違いと具体例

「脳・神経の過敏化(痛覚変容性疼痛)」とは

あなたの痛みが改善しない3つの理由

長引く痛みの原因とは?3つの痛みのタイプ(侵害受容性・神経障害性・痛覚変容性)と治療を解説

「レントゲンやMRIでは『異常なし』と言われたのに、腰や肩の痛みがずっと続いている」
「症状が一向に良くならない」
「原因がわからず途方に暮れている」

数ヶ月以上続く長引く痛み(慢性疼痛)にお悩みではありませんか?

痛みが治らないとき、多くの方は「怪我や病気がまだ治っていないのではないか」と考えがちです。しかし、近年の痛み研究や医学的な診療ガイドライン(※国際疼痛学会(IASP)では、痛みには大きく分けて「3つの発生メカニズム」があり、その原因(タイプ)に応じた適切な治療を行わなければ根本改善しないことが分かっています。

今回はペインクリニック医の視点から「3つの痛みのタイプ」の解説をはじめ、当院(こじまクリニック)で行うアプローチや治療の流れについて詳しく解説します。

慢性的な痛みが改善しない理由

慢性的な痛みに悩む患者様の多くは、これまでさまざまな治療や対策を試されてきています。それにもかかわらず痛みが平行線をたどってしまう背景には、以下の理由が考えられます。

「痛みのタイプに応じた治療」ができていない

湿布や一般的な痛み止め(解熱鎮痛薬)は、主に筋肉や関節の「炎症」を抑えるためのものです。神経が圧迫されている痛みや、脳・神経が過敏になっている痛みに対しては、一般的な鎮痛薬だけでは十分な効果が得られません。

痛みを我慢して放置し、「痛みの回路」が過敏になっている

「これくらいなら…」と痛みを我慢して日常を過ごしていると、痛みの刺激が脳や脊髄に繰り返し送られます。すると神経系がその痛みを学習・記憶し、どんどん痛みに過敏になる悪循環(痛みのスパイラル)に陥ってしまいます。

「痛いから動かさない」ことで筋肉や神経が固まっている

痛みを恐れて体を動かさずにいると、筋力の低下や関節の拘縮を招き、さらに血流が悪化して痛みが強まるという負のループが生じます。もちろん、動いてはいけない場合もありますから、医師の指導が必要です。

長引く痛みを引き起こす「3つの痛みのタイプ」

専門的な診療において、痛みは大きく以下の3つに分類されます。ご自身の症状がどのタイプに近いかチェックしてみましょう。

1. 侵害受容性疼痛 : 筋肉・関節・組織の「傷や炎症」
2. 神経障害性疼痛 : 神経の「圧迫・損傷・しびれ」
3. 痛覚変容性疼痛 : 脳や神経の「過敏化・警戒モード」

1. 組織の傷や炎症による痛み(侵害受容性疼痛)

代表的な症状: ぎっくり腰、怪我・捻挫、筋肉痛、変形性膝関節症、五十肩など

メカニズム: 筋肉・関節・靭帯などの身体の組織が直接ダメージを受けたり、強い炎症を起こしている状態です。「ズキズキする」「重く痛む」といった感覚が特徴です。

2. 神経の圧迫や損傷による痛み(神経障害性疼痛)

代表的な症状: 椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、帯状疱疹あとの痛み、三叉神経痛など

メカニズム: 正座の後のようなピリピリ・ジリジリとした「しびれ」や、電気が走るような鋭い痛みが特徴です。神経そのものが物理的に圧迫されたり、ダメージを受けることで生じます。

3. 脳や神経の“過敏化”による痛み(痛覚変容性疼痛)

代表的な症状: 長引く慢性腰痛・肩こり、原因不明と言われた全身の痛み、線維筋痛症など

メカニズム:組織や神経に直接の傷が見つからないにもかかわらず、脳や脊髄の神経系が過敏状態になることで生じます。侵害受容性疼痛や神経障害性疼痛に当てはまらないものです。

痛覚変容性疼痛についてもう少し解説します。

以前は痛覚変容性疼痛のようなものを「心因性疼痛(心理社会性疼痛)」と呼ぶこともありました。画像検査で異常が見つからない長引く痛みを心因性疼痛(気持ちの問題・精神的なもの)と分類されることが多くありましたが、「心因性」という言葉は患者様に対して「痛むのは気のせいなのか」「あなたの心の持ちようが悪い」といった大きな誤解や傷を生む要因となっていました。また、実際には患者様は本当に強い痛みを感じているため、医療現場でも「原因不明の気のせい」として片付けられてしまうことが大きな課題でした。

近年の脳科学や画像技術の進歩により、こうした長引く痛みの正体は「心(気のせい)」ではなく、長引く痛みの記憶やストレスなどの影響によって「痛みを伝える脳や脊髄の神経ネットワーク自体に機能変化が起き、過敏化していること(生物学的な変化)」だと証明されました。

そのため現在では、「心の問題」という不要な誤解を避け、神経系の機能的な変化を正確に表す言葉として「痛覚変容性疼痛(つうかくへんようせいとうつう)」という新しい医学用語が用いられています。

痛みのタイプと当院のアプローチ(注射・薬・マッサージ・運動療法)

こじまクリニックでは、単にひとつの手法を行うのではなく、「強い痛みを抑え(注射・薬)、動きやすい土台を作り(マッサージ、手技、鍼灸)、脳と身体を根本改善する(運動療法)」を必要に応じて組み合わせ治療を行います。

1. 組織の傷や炎症による痛み(侵害受容性疼痛)への作用

【ブロック注射・薬物】: 消炎鎮痛薬や局所麻酔によるブロック注射で、筋肉や関節の強い「炎症」と「発痛物質」をダイレクトに抑え込みます。

【マッサージ・手技療法・鍼灸】: 痛みが落ちついた後、炎症の周囲で固まった筋肉の緊張を改善させ、局所の血流を改善して硬直を和らげます。

【運動療法】: ストレッチや関節可動域訓練を行い、縮こまった組織を伸ばすことで、患部に集中していた負担を全身へ分散させ再発を防ぎます。

2. 神経の圧迫や損傷による痛み(神経障害性疼痛)への作用

【ブロック注射・薬物】: 坐骨神経痛のような激しい痛みには「神経ブロック注射」を行い、痛みの回路をブロックすることで痛みを取り除きます。薬物療法も併せて行います。

【マッサージ・手技療法・鍼灸療法】: 神経を圧迫している筋肉を手技で緩め、神経への物理的なストレスや圧迫を減らします(梨状筋症候群・斜角筋症候群など)。

【運動療法】: ストレッチや関節可動域訓練を行います。必要に応じて 筋力トレーニングの指導や神経を圧迫しにくい正しい姿勢(骨盤や背骨のポジション)を定着させる指導を行います。

3. 脳や神経の過敏化による痛み(痛覚変容性疼痛)への作用

【ブロック注射・薬物】: 過敏になった中枢神経系(脳や脊髄の過剰反応)を落ち着かせる専用のお薬を処方します。

【マッサージ・手技療法・鍼灸療法】: 心地よい手技や鍼灸による刺激を通じて、交感神経優位になっている脳や自律神経をリラックス状態へ導きます。

【運動療法】: 注射や薬、マッサージで痛みが和らいだタイミングで身体を動かします。過敏になっている脳に対して「この動きをしても痛くない・危険ではない」という正しい感覚を再学習させ、脳の警戒モード(痛みの記憶)を緩和させます。

診療の流れ

当院では、患者様が安心して治療に取り組めるよう、丁寧な問診と分かりやすい説明を心がけています。

丁寧な問診・カウンセリング

いつから、どのような時に、どんな風に痛むのかを詳しく伺います。これまでの治療歴や不安に思われていることも遠慮なくお話しください。

専門的な診察と痛みのタイプ診断

画像検査、身体の動き、神経の反射、圧痛点などの検査を行い、痛みの原因を精査します。

治療計画のご提案

診断結果に基づき、神経ブロック注射、お薬の処方、マッサージ、手技療法、鍼灸療法、運動療法を組み合わせた最適な治療プランをご説明します。

まとめ

長引く痛みは、「我慢していればそのうち治る」「歳だから仕方ない」と諦める必要はありません。

当院のように「神経ブロック注射や薬物療法で辛い痛みを速やかに抑え、マッサージや手技で動かしやすい土台作りをし、ストレッチや運動指導で根本改善を目指す」という段階的なアプローチを行うことこそが、痛みを克服、改善させるためには重要な要素となります。

「どこに行っても治らなかった」「検査で異常がないと言われて不安」という方は、ぜひ一度こじまクリニックまでご相談ください。あなたの痛みに真摯に向き合い、安心できる日常生活を取り戻すお手伝いをいたします。

コラム監修医師
こじまクリニック 院長 小島 研太郎


「こじまクリニック」の診療科・所在地・電話番号などは下記をご覧ください。

 

所在地

診療科:ペインクリニック・整形外科
〒554-0013 大阪市此花区梅香1丁目21番12号
TEL:06-6466-1717

アクセス

■ 電車でお越しの方 

JR大阪環状線  駅からの順路 ▶
●西九条駅から徒歩9分
●西九条駅から大阪シティバス(56号・59号・79号・81号)に乗車、此花朝日橋バス停下車すぐ
阪神なんば線  駅からの順路 ▶
●千鳥橋駅から徒歩3分
■ 車でお越しの方

北港通、千鳥橋交差点を東南東に曲がり、一つ目の信号を右折、2ブロック目。
駐車場については、
パーキングMAPをご覧ください ▶

 

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